クリーンルームとは

クリーンルームに必要な設備と検討すべき事項

クリーンルームとは、「空気中の浮遊塵埃が限定された清浄度レベル以下に管理され、必要に応じて温度・湿度等を一定の基準に制御する部屋」です。
そのためには、以下のような設備と検討が不可欠です。

  1. 必要な清浄度を維持する基準以上の循環風量と塵埃を取るHEPAフィルター等の高性能フィルター。
  2. 塵埃が外から侵入しないように、クリーンルーム内を陽圧にするOA供給設備、及び陽圧ダンパー。
  3. 塵埃の発生・付着や堆積を抑える室構造として、壁・天井には断熱パネルやクリーンクロス張り、床はR材を付けた長尺塩ビシートやエポキシ系塗床等平滑な構造物。
  4. クリーンルーム内に人やワークに付着した塵埃を持ち込まないための、エアーシャワー・パスボックス等の設備。
  5. 必要に応じた制御精度をコントロールできる精密もしくは一般温湿度制御用空調設備。
  6. クリーンルーム内の効率的な機器類の配置・作業動線の検討。行動を最小限にすることで発塵を抑え、かつ生産性にも貢献。

清浄度とは

クリーンルームの清浄度は「一定の体積中の基準の大きさ以上の塵埃の数量」で示されます。規格の原本は1963年のアメリカ連邦規格Federal Standard209です。現在では1993年に改定されたFed.Std209Eが最新版となっています。一般的に最も使われているものは209Dです。これは1フィート立方中(28.8リットル)に0.5ミクロン以上の微粒子が何個あるかで表します。

209Dのクラス100とは1フィート立方中に0.5ミクロン以上の微粒子が100個以下であることです。1,000個以下であればクラス1,000。同じように10,000個以下であればクラス10,000と言い、数字が小さい程ゴミの無い空間になります。

国際標準に適合するため、ISO規格やJIS規格も制定されました。これは1m3中にある0.1μm以上の微粒子が対象になります。

粒子径分布線

粒子径分布線

清浄度規格比較

アメリカ連邦規格Fed. Std. 209D

(1ft3中に含まれる0.5μm以上の微粒子数 個/ft3

Fed.Std.209D 0.1μm 0.2μm 0.3μm 0.5μm 5μm
クラス1 35 8 3 1 -
クラス10 350 75 30 10 -
クラス100 3,500 750 300 100 -
クラス1,000 35,000 7,500 3,000 1,000 7
クラス10,000 - - - 10,000 70
クラス100,000 - - - 100,000 700
JIS規格JIS B 9920 ISO規格 ISO 14644-1

(1m3中に含まれる0.5μm以上の微粒子数 個/m3

JIS ISO 0.1μm 0.2μm 0.3μm 0.5μm 5μm F.S 209D 相当
クラス1 10 (101 2
クラス2 100 (102 24 10 4
クラス3 1,000 (103 237 102 35 クラス1
クラス4 10,000 (104 2,370 1,020 352 クラス10
クラス5 100,000 (105 23,700 10,200 3,520 29 クラス100
クラス6 1,000,000 (106 237,000 102,000 35,200 293 クラス1,000
クラス7 (107 352,000 2,930 クラス10,000
クラス8 (108 3,520,000 29,300 クラス100,000
アメリカ連邦規格Fed. Std. 209E

(1m3中に含まれる0.5μm以上の微粒子数 個/m3

Fed. Std. 209E 0.1μm 0.2μm 0.3μm 0.5μm 5μm F.S 209D 相当
クラスM1 350 76 31 10
クラスM1.5 1,240 265 106 35 クラス1
クラスM2 3,500 757 309 100
クラスM2.5 12,400 2,650 1,060 353 クラス10
クラスM3 35,000 7,570 3,090 1,000
クラスM3.5 26,500 10,600 3,530 クラス100
クラスM4 75,700 30,900 10,000
クラスM4.5 35,300 247 クラス1,000
クラスM5 100,000 618
クラスM5.5 353,000 2,470 クラス10,000
クラスM6 1,000,000 6,180
クラスM6.5 3,530,000 24,700 クラス100,000
微粒子寸法比較
微粒子寸法比較

一般環境下の清浄度目安

清浄度は、通常目にしたり感じたりすることはできません。また測定器も高価で一般的ではなく、清浄度を容易に測ることも困難です。

そこで、私達の周囲の環境ではどの位なのか当てはめてみました。もちろん一般の環境での汚染の状態は時間や季節によって異なりますが、取りあえずの目安となります。写真のような環境ですと、表のようになります。

一般環境下の清浄度目安
地域 クラス 参考
雲の上 1,000 写真1
海上 10,000 写真2
手術室 50,000 写真3
田園地帯 100,000 写真4
地域 クラス 参考
郊外住宅地 400,000 写真5
事務所 1,000,000 写真6
工場内 3,000,000 写真7
大都市街中 5,000,000 写真8

写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

写真6

写真7

写真8

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