クリーンルームに必要な設備と検討すべき事項
クリーンルームとは、「空気中の浮遊塵埃が限定された清浄度レベル以下に管理され、必要に応じて温度・湿度等を一定の基準に制御する部屋」です。
そのためには、以下のような設備と検討が不可欠です。
- 必要な清浄度を維持する基準以上の循環風量と塵埃を取るHEPAフィルター等の高性能フィルター。
- 塵埃が外から侵入しないように、クリーンルーム内を陽圧にするOA供給設備、及び陽圧ダンパー。
- 塵埃の発生・付着や堆積を抑える室構造として、壁・天井には断熱パネルやクリーンクロス張り、床はR材を付けた長尺塩ビシートやエポキシ系塗床等平滑な構造物。
- クリーンルーム内に人やワークに付着した塵埃を持ち込まないための、エアーシャワー・パスボックス等の設備。
- 必要に応じた制御精度をコントロールできる精密もしくは一般温湿度制御用空調設備。
- クリーンルーム内の効率的な機器類の配置・作業動線の検討。行動を最小限にすることで発塵を抑え、かつ生産性にも貢献。
清浄度とは
クリーンルームの清浄度は「一定の体積中の基準の大きさ以上の塵埃の数量」で示されます。規格の原本は1963年のアメリカ連邦規格Federal Standard209です。現在では1993年に改定されたFed.Std209Eが最新版となっています。一般的に最も使われているものは209Dです。これは1フィート立方中(28.8リットル)に0.5ミクロン以上の微粒子が何個あるかで表します。
209Dのクラス100とは1フィート立方中に0.5ミクロン以上の微粒子が100個以下であることです。1,000個以下であればクラス1,000。同じように10,000個以下であればクラス10,000と言い、数字が小さい程ゴミの無い空間になります。
国際標準に適合するため、ISO規格やJIS規格も制定されました。これは1m3中にある0.1μm以上の微粒子が対象になります。
清浄度規格比較
アメリカ連邦規格Fed. Std. 209D
(1ft3中に含まれる0.5μm以上の微粒子数 個/ft3)
Fed.Std.209D | 0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 5μm |
---|---|---|---|---|---|
クラス1 | 35 | 8 | 3 | 1 | - |
クラス10 | 350 | 75 | 30 | 10 | - |
クラス100 | 3,500 | 750 | 300 | 100 | - |
クラス1,000 | 35,000 | 7,500 | 3,000 | 1,000 | 7 |
クラス10,000 | - | - | - | 10,000 | 70 |
クラス100,000 | - | - | - | 100,000 | 700 |
JIS規格JIS B 9920 ISO規格 ISO 14644-1
(1m3中に含まれる0.5μm以上の微粒子数 個/m3)
JIS ISO | 0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 5μm | F.S 209D 相当 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クラス1 | 10 | (101) | 2 | - | - | - | |
クラス2 | 100 | (102) | 24 | 10 | 4 | - | |
クラス3 | 1,000 | (103) | 237 | 102 | 35 | - | クラス1 |
クラス4 | 10,000 | (104) | 2,370 | 1,020 | 352 | - | クラス10 |
クラス5 | 100,000 | (105) | 23,700 | 10,200 | 3,520 | 29 | クラス100 |
クラス6 | 1,000,000 | (106) | 237,000 | 102,000 | 35,200 | 293 | クラス1,000 |
クラス7 | - | (107) | - | - | 352,000 | 2,930 | クラス10,000 |
クラス8 | - | (108) | - | - | 3,520,000 | 29,300 | クラス100,000 |
アメリカ連邦規格Fed. Std. 209E
(1m3中に含まれる0.5μm以上の微粒子数 個/m3)
Fed. Std. 209E | 0.1μm | 0.2μm | 0.3μm | 0.5μm | 5μm | F.S 209D 相当 |
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クラスM1 | 350 | 76 | 31 | 10 | - | |
クラスM1.5 | 1,240 | 265 | 106 | 35 | - | クラス1 |
クラスM2 | 3,500 | 757 | 309 | 100 | - | |
クラスM2.5 | 12,400 | 2,650 | 1,060 | 353 | - | クラス10 |
クラスM3 | 35,000 | 7,570 | 3,090 | 1,000 | - | |
クラスM3.5 | - | 26,500 | 10,600 | 3,530 | - | クラス100 |
クラスM4 | - | 75,700 | 30,900 | 10,000 | - | |
クラスM4.5 | - | - | - | 35,300 | 247 | クラス1,000 |
クラスM5 | - | - | - | 100,000 | 618 | |
クラスM5.5 | - | - | - | 353,000 | 2,470 | クラス10,000 |
クラスM6 | - | - | - | 1,000,000 | 6,180 | |
クラスM6.5 | - | - | - | 3,530,000 | 24,700 | クラス100,000 |
微粒子寸法比較
一般環境下の清浄度目安
清浄度は、通常目にしたり感じたりすることはできません。また測定器も高価で一般的ではなく、清浄度を容易に測ることも困難です。
そこで、私達の周囲の環境ではどの位なのか当てはめてみました。もちろん一般の環境での汚染の状態は時間や季節によって異なりますが、取りあえずの目安となります。写真のような環境ですと、表のようになります。
一般環境下の清浄度目安
地域 | クラス | 参考 |
---|---|---|
雲の上 | 1,000 | 写真1 |
海上 | 10,000 | 写真2 |
手術室 | 50,000 | 写真3 |
田園地帯 | 100,000 | 写真4 |
地域 | クラス | 参考 |
---|---|---|
郊外住宅地 | 400,000 | 写真5 |
事務所 | 1,000,000 | 写真6 |
工場内 | 3,000,000 | 写真7 |
大都市街中 | 5,000,000 | 写真8 |